⑩軍艦島に上陸
廃墟の建物の窓の中が見えそうなくらい近くまで、船が接近しました。船はどうやら白く小さく見えている、小さなコンクリート桟橋に停泊するようです。写真で見えている側が内海ですので、波の影響を受けにくい場所に端島港を作ったんですね。
旅行の下調べをしている時に、「天気が良くても波が高ければ上陸できない。」と口コミがありました。この日は波が穏やかだったので、心配はしていませんでした。ここまで来て上陸を諦めないといけないなんて、まるで拷問です。上陸できない場合は、軍艦島の周りをクルージングして長崎港に戻るそう。
指導員とクルーズガイドに続き、先頭で上陸させていただきました。船上から島を見ていた時に、山の上に建っている2つの建造物がとりわけ目立つけど、何かなぁ?と思っていました。上の写真の山頂にその1つがありますが、この四角い建造物は貯水槽だったとのこと。確かに、あの高い位置に貯水しておけば、重力で十分な水圧が得られますね。
短いトンネルをくぐり抜けるとそこは、映画の世界のような廃墟。もう一つの目立つ建造物が山頂に見えます。これは、幹部用の職員社宅です。20戸あり、お風呂まで付いていた高級住宅。住宅から360度、海を見渡せるそう。建物から景色を見てみたいですが、崩壊が酷いので無理です。
四角いコンクリートの枠が並んで立っています。これは貯炭ベルトコンベアーの支柱です。昔は上部にベルトコンベアーが乗っていて、石炭を貯炭場に運んでいました。
幹部様の高級マンションが気になったので、ドアップにしてみます。バルコニーの壁が崩れて、非常に危険な状態。あれ?あのバルコニーにある植物はどう見てもアロエですね。多肉植物マニアなので、なぜアロエがあそこにあるのか深く考えてしまいます。確かにアロエは花が咲いて種ができますが、海鳥が食べるようなものではない気がします。鳥のフンから芽が出たとは、ちょっと考えにくいです。ここに住んでいた人が緑の少ないこの島で、せめてバルコニーに緑が欲しいと育てていたものではないでしょうか?1974年に閉山してから、ずっとひっそりと生えていたのかも。う~ん、歴史ロマン。
上陸後は主に3ヵ所の見学広場にて、ヘリテージガイドによるレクチャーがあります。ツアーで立ち入りが許されているのは、炭坑があった側の一部分のみです。住宅用のアパートが密集していた島の反対側は、建物の崩壊がひどいため見に行くことはできません。やまさ海運の指導員は若い男性が多く、ガイドは年配の方々です。この島が炭坑として活躍していた時代を知っている方からの説明は重みがあります。
最初の見学広場から遠くに見えている、一部が白っぽい壁の大きな建物は、端島小中学校です。まだ、窓枠にガラスが残っているのが見えます。左隣にある建物の屋上には、端島保育園と日本初といわれる屋上菜園がありました。緑が少ないこの島で少しでも憩いの場を作りたいと、住民がバケツで土を運んだそうです。今でも緑が屋上に見えるのは、土がまだそこにあるからでしょうね。
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